ご挨拶にかえて

ナノの世界に魅せられて

 
少年は、『ミクロの決死圏』(原題:『Fantastic Voyage』米国1966年公開)という映画に魅せられた。脳血栓に倒れた科学者を救うために、ミクロサイズに縮小された医療チームが潜航艇で体内を航行し治療するというSF特撮映画である。人間がミクロサイズになることはないが、現在、その映画で提示された最先端技術で治療が行われている。人間の血管細胞は8μmだからナノサイズになれば血管を透過することが可能であり、10nm~100nmであるウイルスと戦うことができるのである。(表面電位等の問題があり簡単ではないが)
 
物質は、サイズが小さくなるに従い質量に対する表面積が大きくなる。表面積が大きくなると物質同士の接触面が大きくなり化学反応が活性化する。粒子がナノサイズのような極小になると電気、磁気、光学面において通常では起こらない性質が出現する。例えば、チタンは、ナノサイズに生成すると紫外線を吸収して光触媒として使用されている。
 
物質の働きは、ナノサイズになると、私たちの想像を遥かに超えて魅力を増す。気体を100nmの大きさにして水に浸透させると内圧30hPaの見えない気泡となりいつまでも水中で浮遊する。酸素をナノサイズの気泡にして水中に放出する酸素量が増して細胞は活性化する。窒素をナノサイズの気泡にして水中に放出すると酸素が減少して酸化を防ぐ。このようなことは自然界で起こっていることである。
 
人間は、洗浄や除菌という名目で、安易に化学薬品を多用してきた。しかし、その度に新たな耐性菌が出現して、イタチごっこを繰り返してきた。ナノサイエンス、ナノテクノロジーは、悪連鎖を遮断し、クリーンな地球を取り戻し維持する力を有すると考えている。
 
最先端の科学研究に貢献すること。クリーンな地球環境を実現すること。
 
株式会社超微細科学研究所  代表取締役 切石 壯